ひえコラム 6

日本の蕎麦


知人の外国人が帰国した。
名はオブライトという。
彼は日本の蕎麦の修行を3年かけて学んだ。
帰国前夜、3年間学んだ蕎麦を打ち仲間達に振る舞った。
口にした蕎麦は3年間なにを学んだのかと怒りたくなる程、大味で、蕎麦の命ともいわれるそばつゆを作り忘れてしまう始末である。
しかし、本人は「3年間で自分の納得できる味ができました」と達成感たっぷりの顔で、無理して完食した仲間達の前で豪語した。
失笑に絶える両隣の肩がプルプル震えていた、同じ状況下に置かれた私の肩も然りである。
帰国して蕎麦の素晴らしさを自分の国に伝えたいとのことだ。
オブライトが頑張れば頑張る程、日本の蕎麦の伝統と品位は崩れるという皮肉な結果となるであろう。



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