ひえコラム 16

オイルマネー


オイルマネーがフェアであるはずのスポーツをも侵食しはじめた。
フェアな世界は少なく、アンフェアはいたるところに在るものだ。
『アンフェアだ!』と声を枯らすのではなく
アンフェアは打破してなんぼだと私はおもう。

そんな気持ちのもちようなので、アンフェアな出来事や
事件が起きてもさほど心を痛めない。

問題はオイルマネーを手に入れた者の良心だ。
地中から湧き出るマネーが良心を追い払い
使いみちまで間違ってしまう。
親から貰った小遣いなら、無駄使いするなの一言もあろうが
いい歳ともなれば親ですら使いみちにとやかく言わない。

私もオイルマネーを手に入れよう。
そう思った。

わが家の近くに空地がある。
そういえば先日その空地に地質調査のような人達が来ていた。
きっと石油が出るんだ!
まだ日本にも石油が眠っているんだ!
家庭菜園用のスコップを右手に、希望を左手に空地に急ぐ

懸命に掘った。
石油が出たら
両親に楽をさせてあげたい。
妹夫婦には家を買ってあげたい。

懸命に掘った。

ユニセフにもたくさん募金してあげたい。
黒柳徹子に代わりユニセフ親善大使になりたい。
アグネス・チャンに代わりハワイ親善大使になりたい。
ルビー・モレノに代わりフィリピン親善大使になりたい。

懸命に掘った。

「君はなにをやっているのかね」
手を休め、振り返ると土地の所有者がそこにいた。

ヒエ「見たらわかるだろ!」

所有者「見てもわからないから聞いていおるんじゃ」

ヒエ「石油を掘ってんだよ!」

所有者「石油?」

ヒエ「そうだ石油だ、懸命に掘ってんだよ」

所有者「ここは私の土地なんじゃが」

ヒエ「じゃあ、出てきたら3割お前にやるよ」

所有者「出てこなかったら?」

ヒエ「掘る前から出てこないこと考える奴がいるか!」

所有者「・・・・・・・」

ヒエ「知ってんだぞ、この前ここに地質調査の奴らが来てただろう?
   あるんだろ?この下に」

所有者「あれは測量じゃ」

ヒエ「・・・・・・・・」

所有者「ここには来春にマンションが建ちよる、ですので穴を
    掘られるのは非常に困るんじゃ」

ヒエ「もう少し掘らせてくれ
   ほら、またま新しい横穴が見つかったぞ」

所有者「石油を掘っておるんじゃなかったのかね?」

オイルマネーは人を狂わせる。



Copyright (c) bien